Deployment
Deployment コントローラーはPodとReplicaSetの宣言的なアップデート機能を提供します。
ユーザーはDeploymentにおいて理想的な状態 を定義し、Deploymentコントローラーは指定された頻度で現在の状態を理想的な状態に変更させます。ユーザーはDeploymentを定義して、新しいReplicaSetを作成したり、既存のDeploymentを削除して新しいDeploymentで全てのリソースを適用できます。
備考: Deploymentによって作成されたReplicaSetを管理しないでください。ユーザーのユースケースが下記の項目をカバーできていない場合はメインのKubernetesリポジトリーにイシューを作成することを検討してください。
- ユースケース
- Deploymentの作成
- Deploymentの更新
- Deploymentのロールバック
- Deploymentのスケーリング
- Deployment更新の一時停止と再開
- Deploymentのステータス
- 古いリビジョンのクリーンアップポリシー
- カナリアパターンによるデプロイ
- Deployment Specの記述
- Deploymentの代替案
ユースケース
下記の項目はDeploymentの典型的なユースケースです。
- ReplicaSetをロールアウトするためにDeploymentの作成を行う: ReplicaSetはバックグラウンドでPodを作成します。Podの作成が完了したかどうかは、ロールアウトのステータスを確認してください。
- DeploymentのPodTemplateSpecを更新することによりPodの新しい状態を宣言する: 新しいReplicaSetが作成され、Deploymentは指定された頻度で古いReplicaSetから新しいReplicaSetへのPodの移行を管理します。新しいReplicaSetはDeploymentのリビジョンを更新します。
- Deploymentの現在の状態が不安定な場合、Deploymentのロールバックをする: ロールバックによる各更新作業は、Deploymentのリビジョンを更新します。
- より多くの負荷をさばけるように、Deploymentをスケールアップする
- PodTemplateSpecに対する複数の修正を適用するためにDeploymentを停止(Pause)し、それを再開して新しいロールアウトを開始する。
- 今後必要としない古いReplicaSetのクリーンアップ
Deploymentの作成
下記の内容はDeploymentの例です。これはnginx
Podのレプリカを3つ持つReplicaSetを作成します。
controllers/nginx-deployment.yaml
|
---|
|
この例において、
nginx-deployment
という名前のDeploymentが作成され、.metadata.name
フィールドで名前を指定します。- Deploymentは3つのレプリカPodを作成し、
replicas
フィールドによってレプリカ数を指定します。 selector
フィールドは、Deploymentが管理するPodのラベルを定義します。このケースにおいて、ユーザーはPodテンプレートにて定義されたラベル(app: nginx
)を選択します。しかし、PodTemplate自体がそのルールを満たす限り、さらに洗練された方法でセレクターを指定することができます。備考:matchLabels
フィールドは、キーとバリューのペアのマップとなります。matchLabels
マップにおいて、{key, value}というペアは、keyというフィールドの値が”key”で、その演算子が”In”で、値の配列が”value”のみ含むようなmatchExpressions
の要素と等しいです。matchLabels
とmatchExpressions
の両方が設定された場合、条件に一致するには両方とも満たす必要があります。template
フィールドは、下記のサブフィールドを持ちます。:- Podは
labels
フィールドによって指定されたapp: nginx
というラベルがつけられる - PodTemplateの仕様もしくは、
.template.spec
フィールドは、このPodはnginx
という名前のコンテナーを1つ稼働させ、それはnginx
というさせ、Docker Hubにあるnginx
のバージョン1.7.9を使うことを示します - 1つのコンテナを作成し、
name
フィールドを使ってnginx
という名前をつけます
- Podは
上記のDeploymentを作成するために、以下に示すステップにしたがってください。 作成を始める前に、ユーザーのKubernetesクラスターが稼働していることを確認してください。
下記のコマンドを実行してDeploymentを作成してください。
備考: 実行したコマンドをkubernetes.io/change-cause
というアノテーションに記録するために–record
フラグを指定できます。これは将来的な問題の調査のために有効です。例えば、各Deploymentのリビジョンにおいて実行されたコマンドを見るときに便利です。kubectl apply -f https://k8s.io/examples/controllers/nginx-deployment.yaml
Deploymentが作成されたことを確認するために、
kubectl get deployment
を実行してください。Deploymentがまだ作成中の場合、コマンドの実行結果は下記のとおりです。NAME DESIRED CURRENT UP-TO-DATE AVAILABLE AGE nginx-deployment 3 0 0 0 1s
ユーザーのクラスターにおいてDeploymentを調査するとき、下記のフィールドが出力されます。
NAME
クラスター内のDeploymentの名前を表示するDESIRED
アプリケーションの理想的なreplicas の値を表示する: これはDeploymentを作成したときに定義したもので、これが理想的な状態 と呼ばれるものです。CURRENT
現在稼働中のレプリカ数UP-TO-DATE
理想的な状態にするために、アップデートが完了したレプリカ数AVAILABLE
ユーザーが利用可能なレプリカ数AGE
アプリケーションが稼働してからの時間
上記のyamlの例だと、
.spec.replicas
フィールドの値によると、理想的なレプリカ数は3です。Deploymentのロールアウトステータスを確認するために、
kubectl rollout status deployment.v1.apps/nginx-deployment
を実行してください。コマンドの実行結果は下記のとおりです。Waiting for rollout to finish: 2 out of 3 new replicas have been updated... deployment.apps/nginx-deployment successfully rolled out
数秒後、再度
kubectl get deployments
を実行してください。コマンドの実行結果は下記のとおりです。NAME DESIRED CURRENT UP-TO-DATE AVAILABLE AGE nginx-deployment 3 3 3 3 18s
Deploymentが3つ全てのレプリカを作成して、全てのレプリカが最新(Podが最新のPodテンプレートを含んでいる)になり、利用可能となっていることを確認してください。
Deploymentによって作成されたReplicaSet (
rs
)を確認するにはkubectl get rs
を実行してください。コマンドの実行結果は下記のとおりです。NAME DESIRED CURRENT READY AGE nginx-deployment-75675f5897 3 3 3 18s
ReplicaSetの名前は
[Deployment名]-[ランダム文字列]
という形式になることに注意してください。ランダム文字列はランダムに生成され、pod-template-hashをシードとして使用します。各Podにラベルが自動的に付けられるのを確認するには
kubectl get pods --show-labels
を実行してください。コマンドの実行結果は下記のとおりです。NAME READY STATUS RESTARTS AGE LABELS nginx-deployment-75675f5897-7ci7o 1/1 Running 0 18s app=nginx,pod-template-hash=3123191453 nginx-deployment-75675f5897-kzszj 1/1 Running 0 18s app=nginx,pod-template-hash=3123191453 nginx-deployment-75675f5897-qqcnn 1/1 Running 0 18s app=nginx,pod-template-hash=3123191453
作成されたReplicaSetは
nginx
Podを3つ作成することを保証します。
備考: Deploymentに対して適切なセレクターとPodテンプレートのラベルを設定する必要があります(このケースではapp: nginx
)。ラベルやセレクターを他のコントローラーと重複させないでください(他のDeploymentやStatefulSetを含む)。Kubernetesはユーザがラベルを重複させることを止めないため、複数のコントローラーでセレクターの重複が発生すると、コントローラー間で衝突し予期せぬふるまいをすることになります。
pod-template-hashラベル
備考: このラベルを変更しないでください。
pod-template-hash
ラベルはDeploymentコントローラーによってDeploymentが作成し適用した各ReplicaSetに対して追加されます。
このラベルはDeploymentが管理するReplicaSetが重複しないことを保証します。このラベルはReplicaSetのPodTemplate
をハッシュ化することにより生成され、生成されたハッシュ値はラベル値としてReplicaSetセレクター、Podテンプレートラベル、ReplicaSetが作成した全てのPodに対して追加されます。
Deploymentの更新
備考: Deploymentのロールアウトは、DeploymentのPodテンプレート(この場合.spec.template
)が変更された場合にのみトリガーされます。例えばテンプレートのラベルもしくはコンテナーイメージが更新された場合です。Deploymentのスケールのような更新では、ロールアウトはトリガーされません。
Deploymentを更新するには下記のステップに従ってください。
nginxのPodで、
nginx:1.7.9
イメージの代わりにnginx:1.9.1
を使うように更新します。kubectl --record deployment.apps/nginx-deployment set image deployment.v1.apps/nginx-deployment nginx=nginx:1.9.1
実行結果は下記のとおりです。
deployment.apps/nginx-deployment image updated
また、Deploymentを
編集
して、.spec.template.spec.containers[0].image
をnginx:1.7.9
からnginx:1.9.1
に変更することができます。kubectl edit deployment.v1.apps/nginx-deployment
実行結果は下記のとおりです。
deployment.apps/nginx-deployment edited
ロールアウトのステータスを確認するには、下記のコマンドを実行してください。
kubectl rollout status deployment.v1.apps/nginx-deployment
実行結果は下記のとおりです。
Waiting for rollout to finish: 2 out of 3 new replicas have been updated...
もしくは
deployment.apps/nginx-deployment successfully rolled out
更新されたDeploymentのさらなる情報を取得するには、下記を確認してください。
ロールアウトが成功したあと、
kubectl get deployments
を実行してDeploymentを確認できます。 実行結果は下記のとおりです。NAME DESIRED CURRENT UP-TO-DATE AVAILABLE AGE nginx-deployment 3 3 3 3 36s
Deploymentが新しいReplicaSetを作成してPodを更新させたり、新しいReplicaSetのレプリカを3にスケールアップさせたり、古いReplicaSetのレプリカを0にスケールダウンさせるのを確認するには
kubectl get rs
を実行してください。kubectl get rs
実行結果は下記のとおりです。
NAME DESIRED CURRENT READY AGE nginx-deployment-1564180365 3 3 3 6s nginx-deployment-2035384211 0 0 0 36s
get pods
を実行させると、新しいPodのみ確認できます。kubectl get pods
実行結果は下記のとおりです。
NAME READY STATUS RESTARTS AGE nginx-deployment-1564180365-khku8 1/1 Running 0 14s nginx-deployment-1564180365-nacti 1/1 Running 0 14s nginx-deployment-1564180365-z9gth 1/1 Running 0 14s
次にPodを更新させたいときは、DeploymentのPodテンプレートを再度更新するだけです。
Deploymentは、Podが更新されている間に特定の数のPodのみ停止状態になることを保証します。デフォルトでは、目標とするPod数の少なくとも25%が停止状態になることを保証します(25% max unavailable)。
また、DeploymentはPodが更新されている間に、目標とするPod数を特定の数まで超えてPodを稼働させることを保証します。デフォルトでは、目標とするPod数に対して最大でも25%を超えてPodを稼働させることを保証します(25% max surge)。
例えば、上記で説明したDeploymentの状態を注意深く見ると、最初に新しいPodが作成され、次に古いPodが削除されるのを確認できます。十分な数の新しいPodが稼働するまでは、Deploymentは古いPodを削除しません。また十分な数の古いPodが削除しない限り新しいPodは作成されません。少なくとも2つのPodが利用可能で、最大でもトータルで4つのPodが利用可能になっていることを保証します。
Deploymentの詳細情報を取得します。
kubectl describe deployments
実行結果は下記のとおりです。
Name: nginx-deployment Namespace: default CreationTimestamp: Thu, 30 Nov 2017 10:56:25 +0000 Labels: app=nginx Annotations: deployment.kubernetes.io/revision=2 Selector: app=nginx Replicas: 3 desired | 3 updated | 3 total | 3 available | 0 unavailable StrategyType: RollingUpdate MinReadySeconds: 0 RollingUpdateStrategy: 25% max unavailable, 25% max surge Pod Template: Labels: app=nginx Containers: nginx: Image: nginx:1.9.1 Port: 80/TCP Environment: <none> Mounts: <none> Volumes: <none> Conditions: Type Status Reason ---- ------ ------ Available True MinimumReplicasAvailable Progressing True NewReplicaSetAvailable OldReplicaSets: <none> NewReplicaSet: nginx-deployment-1564180365 (3/3 replicas created) Events: Type Reason Age From Message ---- ------ ---- ---- ------- Normal ScalingReplicaSet 2m deployment-controller Scaled up replica set nginx-deployment-2035384211 to 3 Normal ScalingReplicaSet 24s deployment-controller Scaled up replica set nginx-deployment-1564180365 to 1 Normal ScalingReplicaSet 22s deployment-controller Scaled down replica set nginx-deployment-2035384211 to 2 Normal ScalingReplicaSet 22s deployment-controller Scaled up replica set nginx-deployment-1564180365 to 2 Normal ScalingReplicaSet 19s deployment-controller Scaled down replica set nginx-deployment-2035384211 to 1 Normal ScalingReplicaSet 19s deployment-controller Scaled up replica set nginx-deployment-1564180365 to 3 Normal ScalingReplicaSet 14s deployment-controller Scaled down replica set nginx-deployment-2035384211 to 0
最初にDeploymentを作成した時、ReplicaSet(nginx-deployment-2035384211)を作成してすぐにレプリカ数を3にスケールするのを確認できます。Deploymentを更新すると新しいReplicaSet(nginx-deployment-1564180365)を作成してレプリカ数を1にスケールアップし、古いReplicaSeetを2にスケールダウンさせます。これは常に最低でも2つのPodが利用可能で、かつ最大4つのPodが作成されている状態にするためです。Deploymentは同じローリングアップ戦略に従って新しいReplicaSetのスケールアップと古いReplicaSetのスケールダウンを続けます。最終的に新しいReplicaSetを3にスケールアップさせ、古いReplicaSetを0にスケールダウンさせます。
ロールオーバー (リアルタイムでの複数のPodの更新)
Deploymentコントローラーにより、新しいDeploymentが観測される度にReplicaSetが作成され、理想とするレプリカ数のPodを作成します。Deploymentが更新されると、既存のReplicaSetが管理するPodのラベルが.spec.selector
にマッチするが、テンプレートが.spec.template
にマッチしない場合はスケールダウンされます。最終的に、新しいReplicaSetは.spec.replicas
の値にスケールアップされ、古いReplicaSetは0にスケールダウンされます。
Deploymentのロールアウトが進行中にDeploymentを更新すると、Deploymentは更新する毎に新しいReplicaSetを作成してスケールアップさせ、以前にスケールアップしたReplicaSetのロールオーバーを行います。Deploymentは更新前のReplicaSetを古いReplicaSetのリストに追加し、スケールダウンを開始します。
例えば、5つのレプリカを持つnginx:1.7.9
のDeploymentを作成し、nginx:1.7.9
の3つのレプリカが作成されているときに5つのレプリカを持つnginx:1.9.1
に更新します。このケースではDeploymentは作成済みのnginx:1.7.9
の3つのPodをすぐに削除し、nginx:1.9.1
のPodの作成を開始します。nginx:1.7.9
の5つのレプリカを全て作成するのを待つことはありません。
ラベルセレクターの更新
通常、ラベルセレクターを更新することは推奨されません。事前にラベルセレクターの使い方を計画しておきましょう。いかなる場合であっても更新が必要なときは十分に注意を払い、変更時の影響範囲を把握しておきましょう。
備考:apps/v1
API バージョンにおいて、Deploymentのラベルセレクターは作成後に不変となります。
- セレクターの追加は、Deployment Specのテンプレートラベルも新しいラベルで更新する必要があります。そうでない場合はバリデーションエラーが返されます。この変更は重複がない更新となります。これは新しいセレクターは古いセレクターを持つReplicaSetとPodを選択せず、結果として古い全てのReplicaSetがみなし子状態になり、新しいReplicaSetを作成することを意味します。
- セレクターの更新により、セレクターキー内の既存の値が変更されます。これにより、セレクターの追加と同じふるまいをします。
- セレクターの削除により、Deploymentのセレクターから存在している値を削除します。これはPodテンプレートのラベルに関する変更を要求しません。既存のReplicaSetはみなし子状態にならず、新しいReplicaSetは作成されませんが、削除されたラベルは既存のPodとReplicaSetでは残り続けます。
Deploymentのロールバック
Deploymentのロールバックを行いたい場合があります。例えば、Deploymentがクラッシュ状態になりそれがループしたりする不安定なときです。デフォルトではユーザーがいつでもロールバックできるようにDeploymentの全てのロールアウト履歴がシステムに保持されます(リビジョン履歴の上限は設定することで変更可能です)。
備考: Deploymentのリビジョンは、Deploymentのロールアウトがトリガーされた時に作成されます。これはDeploymentのPodテンプレート(.spec.template
)が変更されたときのみ新しいリビジョンが作成されることを意味します。Deploymentのスケーリングなど、他の種類の更新においてはDeploymentのリビジョンは作成されません。これは手動もしくはオートスケーリングを同時に行うことができるようにするためです。これは過去のリビジョンにロールバックするとき、DeploymentのPodテンプレートの箇所のみロールバックされることを意味します。
nginx:1.9.1
の代わりにnginx:1.91
というイメージに更新して、Deploymentの更新中にタイプミスをしたと仮定します。kubectl set image deployment.v1.apps/nginx-deployment nginx=nginx:1.91 --record=true
実行結果は下記のとおりです。
deployment.apps/nginx-deployment image updated
このロールアウトはうまくいきません。ユーザーロールアウトのステータスを見ることでロールアウトがうまくいくか確認できます。
kubectl rollout status deployment.v1.apps/nginx-deployment
実行結果は下記のとおりです。
Waiting for rollout to finish: 1 out of 3 new replicas have been updated...
ロールアウトのステータスの確認は、Ctrl-Cを押すことで停止できます。ロールアウトがうまく行かないときは、Deploymentのステータスを読んでさらなる情報を得てください。
古いレプリカ数(
nginx-deployment-1564180365
andnginx-deployment-2035384211
)が2になっていることを確認でき、新しいレプリカ数(nginx-deployment-3066724191)は1になっています。kubectl get rs
実行結果は下記のとおりです。
NAME DESIRED CURRENT READY AGE nginx-deployment-1564180365 3 3 3 25s nginx-deployment-2035384211 0 0 0 36s nginx-deployment-3066724191 1 1 0 6s
作成されたPodを確認していると、新しいReplicaSetによって作成された1つのPodはコンテナイメージのpullに失敗し続けているのがわかります。
kubectl get pods
実行結果は下記のとおりです。
NAME READY STATUS RESTARTS AGE nginx-deployment-1564180365-70iae 1/1 Running 0 25s nginx-deployment-1564180365-jbqqo 1/1 Running 0 25s nginx-deployment-1564180365-hysrc 1/1 Running 0 25s nginx-deployment-3066724191-08mng 0/1 ImagePullBackOff 0 6s
備考: Deploymentコントローラーは、この悪い状態のロールアウトを自動的に停止し、新しいReplicaSetのスケールアップを止めます。これはユーザーが指定したローリングアップデートに関するパラメータ(特にmaxUnavailable
)に依存します。デフォルトではKubernetesがこの値を25%に設定します。Deploymentの詳細情報を取得します。
kubectl describe deployment
実行結果は下記のとおりです。
Name: nginx-deployment Namespace: default CreationTimestamp: Tue, 15 Mar 2016 14:48:04 -0700 Labels: app=nginx Selector: app=nginx Replicas: 3 desired | 1 updated | 4 total | 3 available | 1 unavailable StrategyType: RollingUpdate MinReadySeconds: 0 RollingUpdateStrategy: 25% max unavailable, 25% max surge Pod Template: Labels: app=nginx Containers: nginx: Image: nginx:1.91 Port: 80/TCP Host Port: 0/TCP Environment: <none> Mounts: <none> Volumes: <none> Conditions: Type Status Reason ---- ------ ------ Available True MinimumReplicasAvailable Progressing True ReplicaSetUpdated OldReplicaSets: nginx-deployment-1564180365 (3/3 replicas created) NewReplicaSet: nginx-deployment-3066724191 (1/1 replicas created) Events: FirstSeen LastSeen Count From SubobjectPath Type Reason Message --------- -------- ----- ---- ------------- -------- ------ ------- 1m 1m 1 {deployment-controller } Normal ScalingReplicaSet Scaled up replica set nginx-deployment-2035384211 to 3 22s 22s 1 {deployment-controller } Normal ScalingReplicaSet Scaled up replica set nginx-deployment-1564180365 to 1 22s 22s 1 {deployment-controller } Normal ScalingReplicaSet Scaled down replica set nginx-deployment-2035384211 to 2 22s 22s 1 {deployment-controller } Normal ScalingReplicaSet Scaled up replica set nginx-deployment-1564180365 to 2 21s 21s 1 {deployment-controller } Normal ScalingReplicaSet Scaled down replica set nginx-deployment-2035384211 to 1 21s 21s 1 {deployment-controller } Normal ScalingReplicaSet Scaled up replica set nginx-deployment-1564180365 to 3 13s 13s 1 {deployment-controller } Normal ScalingReplicaSet Scaled down replica set nginx-deployment-2035384211 to 0 13s 13s 1 {deployment-controller } Normal ScalingReplicaSet Scaled up replica set nginx-deployment-3066724191 to 1
これを修正するために、Deploymentを安定した状態の過去のリビジョンに更新する必要があります。
Deploymentのロールアウト履歴の確認
ロールアウトの履歴を確認するには、下記の手順に従って下さい。
最初に、Deploymentのリビジョンを確認します。
kubectl rollout history deployment.v1.apps/nginx-deployment
実行結果は下記のとおりです。
deployments "nginx-deployment" REVISION CHANGE-CAUSE 1 kubectl apply --filename=https://k8s.io/examples/controllers/nginx-deployment.yaml --record=true 2 kubectl set image deployment.v1.apps/nginx-deployment nginx=nginx:1.9.1 --record=true 3 kubectl set image deployment.v1.apps/nginx-deployment nginx=nginx:1.91 --record=true
CHANGE-CAUSE
はリビジョンの作成時にDeploymentのkubernetes.io/change-cause
アノテーションからリビジョンにコピーされます。下記の手段によりCHANGE-CAUSE
メッセージを指定できます。kubectl annotate deployment.v1.apps/nginx-deployment kubernetes.io/change-cause="image updated to 1.9.1"
の実行によりアノテーションを追加する。- リソースの変更時に
kubectl
コマンドの内容を記録するために--record
フラグを追加する。 - リソースのマニフェストを手動で編集する。
各リビジョンの詳細を確認するためには下記のコマンドを実行してください。
kubectl rollout history deployment.v1.apps/nginx-deployment --revision=2
実行結果は下記のとおりです。
deployments "nginx-deployment" revision 2 Labels: app=nginx pod-template-hash=1159050644 Annotations: kubernetes.io/change-cause=kubectl set image deployment.v1.apps/nginx-deployment nginx=nginx:1.9.1 --record=true Containers: nginx: Image: nginx:1.9.1 Port: 80/TCP QoS Tier: cpu: BestEffort memory: BestEffort Environment Variables: <none> No volumes.
過去のリビジョンにロールバックする
現在のリビジョンから過去のリビジョン(リビジョン番号2)にロールバックさせるには、下記の手順に従ってください。
現在のリビジョンから過去のリビジョンにロールバックします。
kubectl rollout undo deployment.v1.apps/nginx-deployment
実行結果は下記のとおりです。
deployment.apps/nginx-deployment
その他に、
--to-revision
を指定することにより特定のリビジョンにロールバックできます。kubectl rollout undo deployment.v1.apps/nginx-deployment --to-revision=2
実行結果は下記のとおりです。
deployment.apps/nginx-deployment
ロールアウトに関連したコマンドのさらなる情報は
kubectl rollout
を参照してください。Deploymentが過去の安定したリビジョンにロールバックされました。Deploymentコントローラーによって、リビジョン番号2にロールバックする
DeploymentRollback
イベントが作成されたのを確認できます。ロールバックが成功し、Deploymentが正常に稼働していることを確認するために、下記のコマンドを実行してください。
kubectl get deployment nginx-deployment
実行結果は下記のとおりです。
NAME DESIRED CURRENT UP-TO-DATE AVAILABLE AGE nginx-deployment 3 3 3 3 30m
Deploymentの詳細情報を取得します。
kubectl describe deployment nginx-deployment
実行結果は下記のとおりです。
Name: nginx-deployment Namespace: default CreationTimestamp: Sun, 02 Sep 2018 18:17:55 -0500 Labels: app=nginx Annotations: deployment.kubernetes.io/revision=4 kubernetes.io/change-cause=kubectl set image deployment.v1.apps/nginx-deployment nginx=nginx:1.9.1 --record=true Selector: app=nginx Replicas: 3 desired | 3 updated | 3 total | 3 available | 0 unavailable StrategyType: RollingUpdate MinReadySeconds: 0 RollingUpdateStrategy: 25% max unavailable, 25% max surge Pod Template: Labels: app=nginx Containers: nginx: Image: nginx:1.9.1 Port: 80/TCP Host Port: 0/TCP Environment: <none> Mounts: <none> Volumes: <none> Conditions: Type Status Reason ---- ------ ------ Available True MinimumReplicasAvailable Progressing True NewReplicaSetAvailable OldReplicaSets: <none> NewReplicaSet: nginx-deployment-c4747d96c (3/3 replicas created) Events: Type Reason Age From Message ---- ------ ---- ---- ------- Normal ScalingReplicaSet 12m deployment-controller Scaled up replica set nginx-deployment-75675f5897 to 3 Normal ScalingReplicaSet 11m deployment-controller Scaled up replica set nginx-deployment-c4747d96c to 1 Normal ScalingReplicaSet 11m deployment-controller Scaled down replica set nginx-deployment-75675f5897 to 2 Normal ScalingReplicaSet 11m deployment-controller Scaled up replica set nginx-deployment-c4747d96c to 2 Normal ScalingReplicaSet 11m deployment-controller Scaled down replica set nginx-deployment-75675f5897 to 1 Normal ScalingReplicaSet 11m deployment-controller Scaled up replica set nginx-deployment-c4747d96c to 3 Normal ScalingReplicaSet 11m deployment-controller Scaled down replica set nginx-deployment-75675f5897 to 0 Normal ScalingReplicaSet 11m deployment-controller Scaled up replica set nginx-deployment-595696685f to 1 Normal DeploymentRollback 15s deployment-controller Rolled back deployment "nginx-deployment" to revision 2 Normal ScalingReplicaSet 15s deployment-controller Scaled down replica set nginx-deployment-595696685f to 0
Deploymentのスケーリング
下記のコマンドを実行させてDeploymentをスケールできます。
kubectl scale deployment.v1.apps/nginx-deployment --replicas=10
実行結果は下記のとおりです。
deployment.apps/nginx-deployment scaled
クラスター内で水平Podオートスケーラーが有効になっていると仮定します。ここでDeploymentのオートスケーラーを設定し、稼働しているPodのCPU使用量に基づいて、ユーザーが稼働させたいPodのレプリカ数の最小値と最大値を設定できます。
kubectl autoscale deployment.v1.apps/nginx-deployment --min=10 --max=15 --cpu-percent=80
実行結果は下記のとおりです。
deployment.apps/nginx-deployment scaled
比例スケーリング
Deploymentのローリングアップデートは、同時に複数のバージョンのアプリケーションの稼働をサポートします。ユーザーやオートスケーラーがロールアウト中(更新中もしくは一時停止中)のDeploymentのローリングアップデートを行うとき、Deploymentコントローラーはリスクを削減するために既存のアクティブなReplicaSetのレプリカのバランシングを行います。これを比例スケーリング と呼びます。
レプリカ数が10、maxSurge=3、maxUnavailable=2であるDeploymentが稼働している例です。
Deployment内で10のレプリカが稼働していることを確認します。
kubectl get deploy
実行結果は下記のとおりです。
NAME DESIRED CURRENT UP-TO-DATE AVAILABLE AGE nginx-deployment 10 10 10 10 50s
クラスター内で、解決できない新しいイメージに更新します。
You update to a new image which happens to be unresolvable from inside the cluster.
kubectl set image deployment.v1.apps/nginx-deployment nginx=nginx:sometag
実行結果は下記のとおりです。 The output is similar to this:
deployment.apps/nginx-deployment image updated
イメージの更新は新しいReplicaSet nginx-deployment-1989198191へのロールアウトを開始させます。しかしロールアウトは、上述した
maxUnavailable
の要求によりブロックされます。ここでロールアウトのステータスを確認します。kubectl get rs
実行結果は下記のとおりです。
NAME DESIRED CURRENT READY AGE nginx-deployment-1989198191 5 5 0 9s nginx-deployment-618515232 8 8 8 1m
次にDeploymentのスケーリングをするための新しい要求が発生します。オートスケーラーはDeploymentのレプリカ数を15に増やします。Deploymentコントローラーは新しい5つのレプリカをどこに追加するか決める必要がでてきます。比例スケーリングを使用していない場合、5つのレプリカは全て新しいReplicaSetに追加されます。比例スケーリングでは、追加されるレプリカは全てのReplicaSetに分散されます。比例割合が大きいものはレプリカ数の大きいReplicaSetとなり、比例割合が低いときはレプリカ数の小さいReplicaSetとなります。残っているレプリカはもっとも大きいレプリカ数を持つReplicaSetに追加されます。レプリカ数が0のReplicaSetはスケールアップされません。
上記の例では、3つのレプリカが古いReplicaSetに追加され、2つのレプリカが新しいReplicaSetに追加されました。ロールアウトの処理では、新しいレプリカ数のPodが正常になったと仮定すると、最終的に新しいReplicaSetに全てのレプリカを移動させます。これを確認するためには下記のコマンドを実行して下さい。
```shell
kubectl get deploy
```
実行結果は下記のとおりです。
```
NAME DESIRED CURRENT UP-TO-DATE AVAILABLE AGE
nginx-deployment 15 18 7 8 7m
```
ロールアウトのステータスでレプリカがどのように各ReplicaSetに追加されるか確認できます。
shell
kubectl get rs
実行結果は下記のとおりです。
NAME DESIRED CURRENT READY AGE
nginx-deployment-1989198191 7 7 0 7m
nginx-deployment-618515232 11 11 11 7m
Deployment更新の一時停止と再開
ユーザーは1つ以上の更新処理をトリガーする前に更新の一時停止と再開ができます。これにより、不必要なロールアウトを実行することなく一時停止と再開を行う間に複数の修正を反映できます。
例えば、作成直後のDeploymentを考えます。
Deploymentの詳細情報を確認します。kubectl get deploy
実行結果は下記のとおりです。
NAME DESIRED CURRENT UP-TO-DATE AVAILABLE AGE nginx 3 3 3 3 1m
ロールアウトのステータスを確認します。
kubectl get rs
実行結果は下記のとおりです。
NAME DESIRED CURRENT READY AGE nginx-2142116321 3 3 3 1m
下記のコマンドを実行して更新処理の一時停止を行います。
kubectl rollout pause deployment.v1.apps/nginx-deployment
実行結果は下記のとおりです。
deployment.apps/nginx-deployment paused
次にDeploymentのイメージを更新します。
kubectl set image deployment.v1.apps/nginx-deployment nginx=nginx:1.9.1
実行結果は下記のとおりです。
deployment.apps/nginx-deployment image updated
新しいロールアウトが開始されていないことを確認します。
kubectl rollout history deployment.v1.apps/nginx-deployment
実行結果は下記のとおりです。
deployments "nginx" REVISION CHANGE-CAUSE 1 <none>
Deploymentの更新に成功したことを確認するためにロールアウトのステータスを確認します。
kubectl get rs
実行結果は下記のとおりです。
NAME DESIRED CURRENT READY AGE nginx-2142116321 3 3 3 2m
ユーザーは何度も更新を行えます。例えばDeploymentが使用するリソースを更新します。
kubectl set resources deployment.v1.apps/nginx-deployment -c=nginx --limits=cpu=200m,memory=512Mi
実行結果は下記のとおりです。
deployment.apps/nginx-deployment resource requirements updated
一時停止する前の初期状態では更新処理は機能しますが、Deploymentが一時停止されている間は新しい更新処理は反映されません。
最後に、Deploymentの稼働を再開させ、新しいReplicaSetが更新内容を全て反映させているのを確認します。
kubectl rollout resume deployment.v1.apps/nginx-deployment
実行結果は下記のとおりです。
deployment.apps/nginx-deployment resumed
更新処理が完了するまでロールアウトのステータスを確認します。
kubectl get rs -w
実行結果は下記のとおりです。
NAME DESIRED CURRENT READY AGE nginx-2142116321 2 2 2 2m nginx-3926361531 2 2 0 6s nginx-3926361531 2 2 1 18s nginx-2142116321 1 2 2 2m nginx-2142116321 1 2 2 2m nginx-3926361531 3 2 1 18s nginx-3926361531 3 2 1 18s nginx-2142116321 1 1 1 2m nginx-3926361531 3 3 1 18s nginx-3926361531 3 3 2 19s nginx-2142116321 0 1 1 2m nginx-2142116321 0 1 1 2m nginx-2142116321 0 0 0 2m nginx-3926361531 3 3 3 20s
最新のロールアウトのステータスを確認します。
kubectl get rs
実行結果は下記のとおりです。
NAME DESIRED CURRENT READY AGE nginx-2142116321 0 0 0 2m nginx-3926361531 3 3 3 28s
備考: 一時停止したDeploymentの稼働を再開させない限り、ユーザーはDeploymentのロールバックはできません。
Deploymentのステータス
Deploymentは、そのライフサイクルの間に様々な状態に遷移します。新しいReplicaSetへのロールアウト中は進行中になり、その後は完了し、また失敗にもなります。
Deploymentの更新処理
下記のタスクが実行中のとき、KubernetesはDeploymentの状態をprogressing にします。
- Deploymentが新しいReplicaSetを作成する。
- Deploymentが新しいReplicaSetをスケールアップさせている。
- Deploymentが古いReplicaSetをスケールダウンさせている。
- 新しいPodが準備中もしくは利用可能な状態になる(少なくともMinReadySecondsの間は準備中になります)。
ユーザーはkubectl rollout status
を実行してDeploymentの進行状態を確認できます。
Deploymentの更新処理の完了
Deploymentが下記の状態になったとき、KubernetesはDeploymentのステータスをcomplete にします。
- Deploymentの全てのレプリカが、指定された最新のバージョンに更新される。これはユーザーが指定した更新処理が完了したことを意味します。
- Deploymentの全てのレプリカが利用可能になる。
- Deploymentの古いレプリカが1つも稼働していない。
kubectl rollout status
を実行して、Deploymentの更新が完了したことを確認できます。ロールアウトが正常に完了するとkubectl rollout status
の終了コードが0で返されます。
kubectl rollout status deployment.v1.apps/nginx-deployment
実行結果は下記のとおりです。
Waiting for rollout to finish: 2 of 3 updated replicas are available...
deployment.apps/nginx-deployment successfully rolled out
$ echo $?
0
Deploymentの更新処理の失敗
新しいReplicaSetのデプロイが完了せず、更新処理が止まる場合があります。これは主に下記の要因によるものです。
- 不十分なリソースの割り当て
- ReadinessProbeの失敗
- コンテナイメージの取得ができない
- 不十分なパーミッション
- リソースリミットのレンジ
- アプリケーションランタイムの設定の不備
このような状況を検知する1つの方法として、Deploymentのリソース定義でデッドラインのパラメータを指定します(.spec.progressDeadlineSeconds
)。.spec.progressDeadlineSeconds
はDeploymentの更新が停止したことを示す前にDeploymentコントローラーが待つ秒数を示します。
下記のkubectl
コマンドでリソース定義にprogressDeadlineSeconds
を設定します。これはDeploymentの更新が止まってから10分後に、コントローラーが失敗を通知させるためです。
kubectl patch deployment.v1.apps/nginx-deployment -p '{"spec":{"progressDeadlineSeconds":600}}'
実行結果は下記のとおりです。
deployment.apps/nginx-deployment patched
一度デッドラインを超過すると、DeploymentコントローラーはDeploymentの.status.conditions
に下記のDeploymentConditionを追加します。
- Type=Progressing
- Status=False
- Reason=ProgressDeadlineExceeded
ステータスの状態に関するさらなる情報はKubernetes APIの規則を参照してください。
備考: Kubernetesは停止状態のDeploymentに対して、ステータス状態を報告する以外のアクションを実行しません。高レベルのオーケストレーターはこれを利用して、状態に応じて行動できます。例えば、前のバージョンへのDeploymentのロールバックが挙げられます。
備考: Deploymentを停止すると、Kubernetesはユーザーが指定したデッドラインを超えたかどうかチェックしません。ユーザーはロールアウトのとゆうでもDeploymentを安全に一時停止でき、デッドラインを超えたイベントをトリガーすることなく再開できます。
設定したタイムアウトの秒数が小さかったり、一時的なエラーとして扱える他の種類のエラーが原因となり、Deploymentで一時的なエラーが出る場合があります。例えば、リソースの割り当てが不十分な場合を考えます。Deploymentの詳細情報を確認すると、下記のセクションが表示されます。
kubectl describe deployment nginx-deployment
実行結果は下記のとおりです。
<...>
Conditions:
Type Status Reason
---- ------ ------
Available True MinimumReplicasAvailable
Progressing True ReplicaSetUpdated
ReplicaFailure True FailedCreate
<...>
kubectl get deployment nginx-deployment -o yaml
を実行すると、Deploymentのステータスは下記のようになります。
status:
availableReplicas: 2
conditions:
- lastTransitionTime: 2016-10-04T12:25:39Z
lastUpdateTime: 2016-10-04T12:25:39Z
message: Replica set "nginx-deployment-4262182780" is progressing.
reason: ReplicaSetUpdated
status: "True"
type: Progressing
- lastTransitionTime: 2016-10-04T12:25:42Z
lastUpdateTime: 2016-10-04T12:25:42Z
message: Deployment has minimum availability.
reason: MinimumReplicasAvailable
status: "True"
type: Available
- lastTransitionTime: 2016-10-04T12:25:39Z
lastUpdateTime: 2016-10-04T12:25:39Z
message: 'Error creating: pods "nginx-deployment-4262182780-" is forbidden: exceeded quota:
object-counts, requested: pods=1, used: pods=3, limited: pods=2'
reason: FailedCreate
status: "True"
type: ReplicaFailure
observedGeneration: 3
replicas: 2
unavailableReplicas: 2
最後に、一度Deploymentの更新処理のデッドラインを越えると、KubernetesはDeploymentのステータスと進行中の状態を更新します。
Conditions:
Type Status Reason
---- ------ ------
Available True MinimumReplicasAvailable
Progressing False ProgressDeadlineExceeded
ReplicaFailure True FailedCreate
Deploymentか他のリソースコントローラーのスケールダウンを行うか、使用している名前空間内でリソースの割り当てを増やすことで、リソースの割り当て不足の問題に対処できます。割り当て条件を満たすと、DeploymentコントローラーはDeploymentのロールアウトを完了させ、Deploymentのステータスが成功状態になるのを確認できます(Status=True
とReason=NewReplicaSetAvailable
)。
Conditions:
Type Status Reason
---- ------ ------
Available True MinimumReplicasAvailable
Progressing True NewReplicaSetAvailable
Status=True
のType=Available
は、Deploymentが最小可用性の状態であることを意味します。最小可用性は、Deploymentの更新戦略において指定されているパラメータにより決定されます。Status=True
のType=Progressing
は、Deploymentのロールアウトの途中で、更新処理が進行中であるか、更新処理が完了し、必要な最小数のレプリカが利用可能であることを意味します(各TypeのReason項目を確認してください。このケースでは、Reason=NewReplicaSetAvailable
はDeploymentの更新が完了したことを意味します)。
kubectl rollout status
を実行してDeploymentが更新に失敗したかどうかを確認できます。kubectl rollout status
はDeploymentが更新処理のデッドラインを超えたときに0以外の終了コードを返します。
kubectl rollout status deployment.v1.apps/nginx-deployment
実行結果は下記のとおりです。
Waiting for rollout to finish: 2 out of 3 new replicas have been updated...
error: deployment "nginx" exceeded its progress deadline
$ echo $?
1
失敗したDeploymentの操作
更新完了したDeploymentに適用した全てのアクションは、更新失敗したDeploymentに対しても適用されます。スケールアップ、スケールダウンができ、前のリビジョンへのロールバックや、Deploymentのテンプレートに複数の更新を適用させる必要があるときは一時停止もできます。
古いリビジョンのクリーンアップポリシー
Deploymentが管理する古いReplicaSetをいくつ保持するかを指定するために、.spec.revisionHistoryLimit
フィールドを設定できます。この値を超えた古いReplicaSetはバックグラウンドでガーベージコレクションの対象となって削除されます。デフォルトではこの値は10です。
備考: このフィールドを明示的に0に設定すると、Deploymentの全ての履歴を削除します。従って、Deploymentはロールバックできません。
カナリアパターンによるデプロイ
Deploymentを使って一部のユーザーやサーバーに対してリリースのロールアウトをしたいとき、リソースの管理に記載されているカナリアパターンに従って、リリース毎に1つずつ、複数のDeploymentを作成できます。
Deployment Specの記述
他の全てのKubernetesの設定と同様に、DeploymentはapiVersion
、kind
やmetadata
フィールドを必要とします。設定ファイルの利用に関する情報はアプリケーションのデプロイを参照してください。コンテナーの設定に関してはリソースを管理するためのkubectlの使用を参照してください。
Deploymentは.spec
セクションも必要とします。
Podテンプレート
.spec.template
と.spec.selector
は.spec
における必須のフィールドです。
.spec.template
はPodテンプレートです。これは.spec内でネストされていないことと、apiVersion
やkind
を持たないことを除いてはPodと同じスキーマとなります。
Podの必須フィールドに加えて、Deployment内のPodテンプレートでは適切なラベルと再起動ポリシーを設定しなくてはなりません。ラベルは他のコントローラーと重複しないようにしてください。ラベルについては、セレクターを参照してください。
.spec.template.spec.restartPolicy
がAlways
に等しいときのみ許可されます。これはテンプレートで指定されていない場合のデフォルト値です。
レプリカ数
.spec.replias
は理想的なPodの数を指定するオプションのフィールドです。デフォルトは1です。
セレクター
.spec.selector
は必須フィールドで、Deploymentによって対象とされるPodのラベルセレクターを指定します。
.spec.selector
は.spec.template.metadata.labels
と一致している必要があり、一致しない場合はAPIによって拒否されます。
apps/v1
バージョンにおいて、.spec.selector
と.metadata.labels
が指定されていない場合、.spec.template.metadata.labels
の値に初期化されません。そのため.spec.selector
と.metadata.labels
を明示的に指定する必要があります。またapps/v1
のDeploymentにおいて.spec.selector
は作成後に不変になります。
Deploymentのテンプレートが.spec.template
と異なる場合や、.spec.replicas
の値を超えてPodが稼働している場合、Deploymentはセレクターに一致するラベルを持つPodを削除します。Podの数が理想状態より少ない場合Deploymentは.spec.template
をもとに新しいPodを作成します。
備考: ユーザーは、Deploymentのセレクターに一致するラベルを持つPodを、直接作成したり他のDeploymentやReplicaSetやReplicationControllerによって作成するべきではありません。作成した場合は最初のDeploymentが、ラベルに一致する新しいPodを作成したとみなしてしまいます。Kubernetesはユーザーがこれを行ってもエラーなどを出さず、処理を止めません。
セレクターが重複する複数のコントローラーを持つとき、そのコントローラーは互いに競合状態となり、正しくふるまいません。
更新戦略
.spec.strategy
は古いPodから新しいPodに置き換える際の更新戦略を指定します。.spec.strategy.type
は”Recreate”もしくは”RollingUpdate”を指定できます。デフォルトは”RollingUpdate”です。
Deploymentの再作成
.spec.strategy.type==Recreate
と指定されているとき、既存の全てのPodは新しいPodが作成される前に削除されます。
Deploymentのローリングアップデート
.spec.strategy.type==RollingUpdate
と指定されているとき、DeploymentはローリングアップデートによりPodを更新します。ローリングアップデートの処理をコントロールするためにmaxUnavailable
とmaxSurge
を指定できます。
maxUnavailable
.spec.strategy.rollingUpdate.maxUnavailable
はオプションのフィールドで、更新処理において利用不可となる最大のPod数を指定します。値は絶対値(例: 5)を指定するか、理想状態のPodのパーセンテージを指定します(例: 10%)。パーセンテージを指定した場合、絶対値は小数切り捨てされて計算されます。.spec.strategy.rollingUpdate.maxSurge
が0に指定されている場合、この値を0にできません。デフォルトでは25%です。
例えば、この値が30%と指定されているとき、ローリングアップデートが開始すると古いReplicaSetはすぐに理想状態の70%にスケールダウンされます。一度新しいPodが稼働できる状態になると、古いReplicaSetはさらにスケールダウンされ、続いて新しいReplicaSetがスケールアップされます。この間、利用可能なPodの総数は理想状態のPodの少なくとも70%以上になるように保証されます。
maxSurge
.spec.strategy.rollingUpdate.maxSurge
はオプションのフィールドで、理想状態のPod数を超えて作成できる最大のPod数を指定します。値は絶対値(例: 5)を指定するか、理想状態のPodのパーセンテージを指定します(例: 10%)。パーセンテージを指定した場合、絶対値は小数切り上げで計算されます。MaxUnavailable
が0に指定されている場合、この値を0にできません。デフォルトでは25%です。
例えば、この値が30%と指定されているとき、ローリングアップデートが開始すると新しいReplicaSetはすぐに更新されます。このとき古いPodと新しいPodの総数は理想状態の130%を超えないように更新されます。一度古いPodが削除されると、新しいReplicaSetはさらにスケールアップされます。この間、利用可能なPodの総数は理想状態のPodに対して最大130%になるように保証されます。
progressDeadlineSeconds
.spec.progressDeadlineSeconds
はオプションのフィールドで、システムがDeploymentの更新に失敗したと判断するまでに待つ秒数を指定します。更新に失敗したと判断されたとき、リソースのステータスはType=Progressing
、Status=False
かつReason=ProgressDeadlineExceeded
となるのを確認できます。DeploymentコントローラーはDeploymentの更新のリトライし続けます。今後、自動的なロールバックが実装されたとき、更新失敗状態になるとすぐにDeploymentコントローラーがロールバックを行うようになります。
この値が指定されているとき、.spec.minReadySeconds
より大きい値を指定する必要があります。
minReadySeconds
.spec.minReadySeconds
はオプションのフィールドで、新しく作成されたPodが利用可能となるために、最低どれくらいの秒数コンテナーがクラッシュすることなく稼働し続ければよいかを指定するものです。デフォルトでは0です(Podは作成されるとすぐに利用可能と判断されます)。Podが利用可能と判断された場合についてさらに学ぶためにContainer Probesを参照してください。
rollbackTo
.spec.rollbackTo
は、extensions/v1beta1
とapps/v1beta1
のAPIバージョンにおいて非推奨で、apps/v1beta2
以降のAPIバージョンではサポートされません。かわりに、前のリビジョンへのロールバックで説明されているようにkubectl rollout undo
を使用するべきです。
リビジョン履歴の保持上限
Deploymentのリビジョン履歴は、Deploymentが管理するReplicaSetに保持されています。
.spec.revisionHistoryLimit
はオプションのフィールドで、ロールバック可能な古いReplicaSetの数を指定します。この古いReplicaSetはetcd
内のリソースを消費し、kubectl get rs
の出力結果を見にくくします。Deploymentの各リビジョンの設定はReplicaSetに保持されます。このため一度古いReplicaSetが削除されると、そのリビジョンのDeploymentにロールバックすることができなくなります。デフォルトでは10もの古いReplicaSetが保持されます。しかし、この値の最適値は新しいDeploymnetの更新頻度と安定性に依存します。
さらに詳しく言うと、この値を0にすると、0のレプリカを持つ古い全てのReplicaSetが削除されます。このケースでは、リビジョン履歴が完全に削除されているため新しいDeploymentのロールアウトを完了することができません。
paused
.spec.paused
はオプションのboolean値で、Deploymentの一時停止と再開のための値です。一時停止されているものと、そうでないものとの違いは、一時停止されているDeploymentはPodTemplateSpecのいかなる変更があってもロールアウトがトリガーされないことです。デフォルトではDeploymentは一時停止していない状態で作成されます。
Deploymentの代替案
kubectl rolling update
kubectl rolling update
によって、同様の形式でPodとReplicationControllerを更新できます。しかしDeploymentの使用が推奨されます。なぜならDeploymentの作成は宣言的であり、ローリングアップデートが更新された後に過去のリビジョンにロールバックできるなど、いくつかの追加機能があります。
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