コンセプト

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推奨ラベル(Recommended Labels)

ユーザーはkubectlやダッシュボード以外に、多くのツールでKubernetesオブジェクトの管理と可視化ができます。共通のラベルセットにより、全てのツールにおいて解釈可能な共通のマナーに沿ってオブジェクトを表現することで、ツールの相互運用を可能にします。

ツール化に対するサポートに加えて、推奨ラベルはクエリ可能な方法でアプリケーションを表現します。

メタデータは、アプリケーション のコンセプトを中心に構成されています。KubernetesはPaaS(Platform as a Service)でなく、アプリケーションの公式な概念を持たず、またそれを強制することはありません。 そのかわり、アプリケーションは、非公式で、メタデータによって表現されています。単一のアプリケーションが有する項目に対する定義は厳密に決められていません。

備考: ラベルには推奨ラベルというものがあります。それらのラベルはアプリケーションの管理を容易にします。しかしコア機能のツール化において必須のものではありません。

共有されたラベルとアノテーションは、app.kubernetes.ioという共通のプレフィックスを持ちます。プレフィックスの無いラベルはユーザーに対してプライベートなものになります。その共有されたプレフィックスは、共有ラベルがユーザーのカスタムラベルに干渉しないことを保証します。

ラベル

これらの推奨ラベルの利点を最大限得るためには、全てのリソースオブジェクトに対して推奨ラベルが適用されるべきです。

キー説明
app.kubernetes.io/nameアプリケーション名mysql文字列
app.kubernetes.io/instanceアプリケーションのインスタンスを特定するための固有名wordpress-abcxzy文字列
app.kubernetes.io/versionアプリケーションの現在のバージョン (例: セマンティックバージョン、リビジョンのハッシュなど)5.7.21文字列
app.kubernetes.io/componentアーキテクチャ内のコンポーネントdatabase文字列
app.kubernetes.io/part-ofこのアプリケーションによって構成される上位レベルのアプリケーションwordpress文字列
app.kubernetes.io/managed-byこのアプリケーションの操作を管理するために使われているツールhelm文字列

これらのラベルが実際にどう使われているかを表すために、下記のStatefulSetのオブジェクトを考えましょう。

apiVersion: apps/v1
kind: StatefulSet
metadata:
  labels:
    app.kubernetes.io/name: mysql
    app.kubernetes.io/instance: wordpress-abcxzy
    app.kubernetes.io/version: "5.7.21"
    app.kubernetes.io/component: database
    app.kubernetes.io/part-of: wordpress
    app.kubernetes.io/managed-by: helm

アプリケーションとアプリケーションのインスタンス

単一のアプリケーションは、Kubernetesクラスタ内で、いくつかのケースでは同一の名前空間に対して1回または複数回インストールされることがあります。
例えば、WordPressは複数のウェブサイトがあれば、それぞれ別のWordPressが複数回インストールされることがあります。

アプリケーション名と、アプリケーションのインスタンス名はそれぞれ別に記録されます。
例えば、WordPressはapp.kubernetes.io/namewordpressと記述され、インスタンス名に関してはapp.kubernetes.io/instancewordpress-abcxzyと記述されます。この仕組みはアプリケーションと、アプリケーションのインスタンスを特定可能にします。全てのアプリケーションインスタンスは固有の名前を持たなければなりません。

ラベルの使用例

ここでは、ラベルの異なる使用例を示します。これらの例はそれぞれシステムの複雑さが異なります。

シンプルなステートレスサービス

DeploymentServiceオブジェクトを使って、シンプルなステートレスサービスをデプロイするケースを考えます。下記の2つのスニペットはラベルが最もシンプルな形式においてどのように使われるかをあらわします。

下記のDeploymentは、アプリケーションを稼働させるポッドを管理するのに使われます。

apiVersion: apps/v1
kind: Deployment
metadata:
  labels:
    app.kubernetes.io/name: myservice
    app.kubernetes.io/instance: myservice-abcxzy
...

下記のServiceは、アプリケーションを公開するために使われます。

apiVersion: v1
kind: Service
metadata:
  labels:
    app.kubernetes.io/name: myservice
    app.kubernetes.io/instance: myservice-abcxzy
...

データベースを使ったウェブアプリケーション

次にもう少し複雑なアプリケーションについて考えます。データベース(MySQL)を使ったウェブアプリケーション(WordPress)で、Helmを使ってインストールします。
下記のスニペットは、このアプリケーションをデプロイするために使うオブジェクト設定の出だし部分です。

はじめに下記のDeploymentは、WordPressのために使われます。

apiVersion: apps/v1
kind: Deployment
metadata:
  labels:
    app.kubernetes.io/name: wordpress
    app.kubernetes.io/instance: wordpress-abcxzy
    app.kubernetes.io/version: "4.9.4"
    app.kubernetes.io/managed-by: helm
    app.kubernetes.io/component: server
    app.kubernetes.io/part-of: wordpress
...

下記のServiceは、WordPressを公開するために使われます。

apiVersion: v1
kind: Service
metadata:
  labels:
    app.kubernetes.io/name: wordpress
    app.kubernetes.io/instance: wordpress-abcxzy
    app.kubernetes.io/version: "4.9.4"
    app.kubernetes.io/managed-by: helm
    app.kubernetes.io/component: server
    app.kubernetes.io/part-of: wordpress
...

MySQLはStatefulSetとして公開され、MySQL自身と、MySQLが属する親アプリケーションのメタデータを持ちます。

apiVersion: apps/v1
kind: StatefulSet
metadata:
  labels:
    app.kubernetes.io/name: mysql
    app.kubernetes.io/instance: wordpress-abcxzy
    app.kubernetes.io/managed-by: helm
    app.kubernetes.io/component: database
    app.kubernetes.io/part-of: wordpress
    app.kubernetes.io/version: "5.7.21"
...

このServiceはMySQLをWordPressアプリケーションの一部として公開します。

apiVersion: v1
kind: Service
metadata:
  labels:
    app.kubernetes.io/name: mysql
    app.kubernetes.io/instance: wordpress-abcxzy
    app.kubernetes.io/managed-by: helm
    app.kubernetes.io/component: database
    app.kubernetes.io/part-of: wordpress
    app.kubernetes.io/version: "5.7.21"
...

MySQLのStatefulSetServiceにより、MySQLとWordPressに関するより広範な情報が含まれていることに気づくでしょう。

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